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岩石・骨材試験
近年の度重なる巨大地震の発生により、既設の構造物の耐震性評価や基準の見直しが図られるとともに、岩石・岩盤の耐震性評価が強く求められています。従来、岩石試験等の試験方法は日本産業規格(JIS)、地盤工学会規格・基準(JGS)、NEXCO試験基準、旧建設省土木試験基準(案)その他があり、試験方法や用語等の統一されていない状況です。地盤工学会「地盤材料試験の方法と解説」で岩石試験方法が基準化されましたので、当社で実施可能な試験項目を取りまとめました。
供試体作製
各種の岩石試験に用いる岩石の形状と作製方法は、試験項目や岩石の性質によって以下のように区分されます。
(1)供試体側面を整形しない場合
ボーリングコアが、試験に用いる供試体直径であれば、供試体の端面を切断し、端面を研磨します。
(2)トリミングによる場合(軟岩)
試料が試験に用いる供試体直径より大きいコアやブロックで、水の影響を受けやすい場合、直径・端面とも、トリマー、直ナイフ等を用いて整形します。
(3)コアリング法による場合
試料が試験に用いる供試体直径より大きいコアやブロックで、水の影響を受けにくい場合、所定の直径にコアリングし、端面を研磨します。コアの直径は、研究や実験内容により、φ10㎜からφ100㎜まで11種類のコアリングが可能です。写真は岩石のコアリングや切断等に必要な機器と様々な直径のコアです。なお、圧縮試験でひずみゲージや局所変位測定装置(LDT)を供試体に直接装着出来るのはφ35㎜以上のサイズです。
■コアリングが可能な供試体寸法(mm)
φ10㎜、φ20㎜、φ25㎜、φ30㎜ |
φ35㎜、φ40㎜、φ50㎜、φ60㎜、φ65㎜、φ75㎜、φ100㎜ |
物理的性質試験
凍結融解試験 |
比抵抗値測定 |
ひずみゲージによる変位量測定 |
岩石の物理的性質試験は、岩石の基本的物性値を調べる試験、岩石の耐久性(風化度等)を調べる試験、あるいは非破壊による強度・変形特性を推測します。また、基準化されていない試験で、岩盤の透水試験等があります。表に試験項目と方法、規格・基準を示します。なお、規格・基準は次のとおりです。
JIS :日本産業規格、
JHS :NEXCO試験基準
JGS :地盤工学会規格・基準
KDK :旧建設省 土木試験基準(案)
■物理的性質試験の試験方法と規格・基準
試験方法 |
規格・基準 |
特記事項 |
岩石の密度試験 |
JGS 2132 |
かさ密度 |
岩石の含水比試験 |
JGS 2134 |
|
パルス透過法による 岩石の超音波速度測定 |
JGS 2110 |
P・S波速度、ポアソン比 |
岩石の吸水膨張試験 |
JGS 2121 |
吸水膨張率試験・吸水膨張応力試験 |
岩石のスレーキング試験 |
JGS 2124 |
供試体の細粒化等の形状の変化を区分 |
岩のスレーキング試験 |
JHS 110 |
24時間炉乾燥・水浸を5回 |
岩石の促進スレーキング試験 |
JGS 2125 |
乾燥・水浸を3回繰り返し |
礫の積比重及び吸水率試験 |
JHS 108 |
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岩の破砕率試験 |
JHS 109 |
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岩の乾湿繰返し吸水率試験 |
JHS 111 |
24時間炉乾燥・水浸を10回(岩塊) |
岩石の密度・含水比・ 有効間隙率・吸水率試験 |
KDK S 0501 |
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岩の浸水崩壊度試験 |
JHS 722 |
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pF試験 |
JGS 0151 |
保水性試験 |
凍結融解試験 |
JIS A 1148 |
恒温恒湿槽 |
岩石の透水試験 |
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比抵抗値測定 |
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礫の最小密度・最大密度試験 | JGS 0162 |
力学的性質試験
岩石の力学的性質を求める試験は、地盤工学会基準では一軸・三軸圧縮試験を主として、変形・強度を求める試験として基準化されています。また、兵庫県南部地震を契機として、東北地方太平洋沖地震、熊本地震等の影響を考慮し、岩石・岩盤の動的特性試験についての基準化の必要性について検討されています。このため、繰返し強度試験についてもご紹介いたします。
■力学的性質試験の試験方法と規格・基準
試験方法 |
規格・基準 |
特記事項 |
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JIS M 0302 |
かさ密度 |
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JGS 2521 |
ヤング率、ポアソン比 |
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一軸クリープ試験 |
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1〜3次クリープ |
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三 軸 圧 縮 試 験 |
JGS 2531 |
セル圧 15MPa |
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JGS 2532 |
セル圧 10MPa |
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JGS 2533 |
セル圧 10MPa |
||
JGS 2534 |
セル圧 10MPa |
||
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最大強度・残留強度、 |
||
三軸クリープ試験 |
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1〜3 次クリープ |
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岩盤不連続面の一面せん断試験 |
JGS 2541 |
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多段階せん断試験 |
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垂直応力変化 (一面せん断試験装置を使用) |
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ダイス式せん断試験 |
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圧裂による岩石の引張り強さ試験 |
JGS 2551 |
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針貫入試験 |
JGS 3431 |
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岩盤のシュミット式ハンマー試験 |
JGS 3411 |
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岩石の点載荷試験 |
JGS 3421 |
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微小繰返し載荷試験 |
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ひずみゲージ、LDT(中容量繰返し三軸試験装置を使用) |
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動的強度試験 |
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(中容量繰返し三軸試験装置を使用) |
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残留変形特性試験 |
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(中容量繰返し三軸試験装置を使用) |
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岩石の多段階繰返し非排水 三軸圧縮試験 |
JGS 2561 |
1段階10波で、軸差応力が増加しなくなるまで、もしくは軸ひずみが15%に達するまで段階載荷を行う |
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岩石の疲労特性を求めるための 繰返し非排水三軸圧縮試験 |
JGS 2562 |
応力制御による連続載荷 |
(1)ダイス式せん断試験
治具と一軸圧縮試験機を使用して、一面せん断試験を行います。
(2)圧裂による岩石の引張強さ試験
(JGS 3431)
円柱状供試体の球面の2方向、いわゆる圧裂状態から間接的に引っ張り強さを求める試験です。
(3)針貫入試験(JGS 3432)
軟岩の強度(一軸圧縮強度に換算)を調べるため、金属製の針(φ0.84㎜)を10㎜貫入させた時の強度を求める試験です。
(4)シュミットハンマー試験
携帯用の岩盤の非破壊強度試験です。
(5)点載荷試験
岩塊の強度を直接計測出来る試験装置です。
(6)岩盤不連続面の一面せん断試験
(JGS 2541)
岩盤の斜面、基礎、トンネル、地下空洞等を対象として、単一の不連続面の強度特性を求める試験です。また、本装置は、室内大型一面せん断試験も可能です。
(7)多段階三軸圧縮試験(静的)
同一供試体を得ることが困難な場合、1本の供試体で拘束圧を変化させて強度を求めます。試験の制御は応力と変位のいずれも可能です。試験結果は最大強度に加え、残留強度で整理することもあります。
(8)クリープ試験
クリープ試験は一軸状態と三軸状態があり、双方とも三軸圧縮試験で使用する中容量三軸圧縮試験装置を用います。
(9)軟岩の変形特性を求めるための繰返し三軸試験(JGS 2563)
粘性土・砂質土の変形特性を求めるための繰返し試験に相当する試験です。軸方向変位の計測は主にひずみゲージと局所変位測定装置(LDT)を使用します。
(10)岩石の多段階繰返し非排水三軸圧縮試験
(JGS 2561)
圧縮側に繰返し軸差応力を負荷する、いわゆる片振りでの載荷方法です。波形は-cos波、三角波、不規則波による載荷とします。各段階の軸差応力増分を圧縮強さの1/5程度とし、繰返し載荷回数は10波です。載荷段階数は、静的な最大圧縮強さを参考に5~10段階となるように設定します。
(11)岩石の疲労特性を求めるための繰返し非排水三軸圧縮試験(JGS 2562)
圧縮側に繰返し軸差応力を負荷する、いわゆる片振りでの載荷方法です。波形は-cos波、三角波、不規則波による載荷とします。繰返し軸荷重振幅は、供試体の状態と試験の目的により設定し、載荷が可能な限り連続して負荷します。試験の終了は、軸差応力の低下、軸ひずみが15%に達する時、あるいは繰返し載荷回数200回程度。
地質鉱物学的試験
鉱物学的試験は鉱物の組み合わせや組織等、精度の高い岩石鑑定を行い、岩石中に含まれる粘土鉱物の種類を調べるための試験です。
■鉱物学的試験の種類
試験方法 |
特記事項 |
偏光顕微鏡観察 |
岩石薄片作製 |
X線回析 |
X線回析 |
骨材試験・石材試験
土や礫など地盤材料の強度や支持力等、力学的性質を求めるための物理試験(密度試験、粒度試験、締め固め試験、含水量試験)です。土の場合は水分の量や粒度、加えるエネルギーによって締り具合が大きく変化し、また、強度や支持力も変化します。
■骨材試験・石材試験の種類
試験方法 |
規格・基準 |
特記事項 |
骨材のふるい分け試験 |
JIS A 1102 |
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骨材の微粒分量試験 |
JIS A 1103 |
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骨材の単位容積質量及び実績率試験 |
JIS A 1104 |
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細骨材の有機不純物試験 |
JIS A 1105 |
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細骨材の密度及び吸水率試験 |
JIS A 1109 |
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細骨材の密度及び吸水率試験 |
JIS A 1110 |
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表面水量試験 |
JIS A 1111 |
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ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験 |
JIS A 1121 |
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硫酸ナトリウムによる骨材の安定性試験 |
JIS A 1122 |
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ひっかき硬さによる粗骨材の軟石量試験 |
JIS A 1126 |
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骨材のアルカリシリカ反応性試験 |
JIS A 1146 |
モルタルバー法 |
骨材中に含まれる粘土塊量試験 |
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硬度試験 |
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ひっかき硬度・ショアー硬度 |
(1)ロサンゼルス試験機による粗骨材のすり減り試験(JIS A 1121)
アスファルト混合物と路盤材、コンクリートに用いられる骨材(砕石)は堅硬かつ強靭であることが必要とされ、この評価方法としてロサンゼルス試験方法(JIS A 1121)が一般に採用されています。鋼製のドラムに鋼球と骨材を一緒に入れて回転させ、骨材が鋼球と衝突して小さくなった量(すりへり損失量)を測定して骨材の耐摩耗性を評価します。